弁再建・弁尖置換手術とは

自己心膜による大動脈弁再建術(尾崎法)

生体適合性の最も高い自己心膜を使用した大動脈を弁形成する手術法です。

異物である人工弁を移植しないので、拒絶反応がなく、脳梗塞などを起こすリスクが低いと考えられています。

例えば歯の治療、胃や大腸のポリープ切除の際にも抗凝固療法を施行していないため出血のリスクが少なく、より安全に各処置を受けることができるようになります。
また出産をひかえた女性、あるいは抗凝固療法が禁忌な患者にも有効です。

このドラッグフリーの視点から、本術式は患者の術後QOLを大幅に向上させます。

特長① 抗凝固療法

ワーファリンなどの抗凝固療法を必要としない為、術後の抗血小板剤であるバイアスピリンを服用するのみで、ワーファリンは不要です。抗凝固剤使用による出血のリスクを減少させることができます。

特長② 有効弁口面積

生来に限りなく近い大動脈弁を取り戻せる有効弁口面積が大動脈弁輪部と等しくなるため、狭小大動脈弁輪症例に対しても、弁前後での圧較差はほとんどありません。

特長③ 感染に対する抵抗性

感染に対する安全性人工物を使用しないため、感染に対する抵抗性が強いと考えられています。

特長④ 弁の閉鎖音もしずか

快適性補填物がなく、弁の閉鎖音もしずかです。

特長⑤ 再手術のときの安全性

再手術の際の選択肢が多い再手術時、強固に癒着した人工弁を摘除する必要はなく、自己心膜を切除するのみで再手術が可能です。

自己心膜が使用できない場合でもウマ心膜や脱細胞化心膜を使用することで初回と同様に手術が可能です。再手術時に人工弁置換を選択することもできます。また、ステントなどの異物を使用していないため、カテーテルによる大動脈弁置換術も選択可能となり、バリエーションに富んだ術式を選択することができます。

現在では、患者さんへの手術負担を更に軽減させる為手術用内視鏡と取り入れたMICS手術法やロボット支援手術法を取り入れた研究も始まっています。将来は再生医療技術も取り込んだ治療法の研究も始まる予定です。